週末、あんまり天気が良かったので、近くの川まで散歩に行った。写真はコサギ(だと思う)。一瞬、デカイ鳥がいる!っていう気がするけど、結構都会の水辺でもこいつは見かける。とか思いつつもつい写真は撮ったりする。
人がいても全く動じることなくのんびり日向ぼっこ(?)していた。割と図太い。
白いので綺麗な鳥、のような気がするのだけど、良く見ると割と不細工。頭でかいし、足元なんかはなんだか間抜けな感じ。愛橋があって可愛い、といえなくもない。でも羽を広げると、やっぱり綺麗な鳥だなぁ、と思うのです(どっちやねん!)。
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さて、今日の本は、恩田陸の「ドミノ」です。
内容紹介
一億円の契約書を待つ、締切直前のオフィス。オーディション中、下剤を
盛られた子役の少女。推理力を競い合う大学生。別れを画策する青年実業家。
待ち合わせ場所に行き着けない老人。老人の句会仲間の警察OBたち。真夏の
東京駅、二七人と一匹の登場人物はそれぞれに、何かが起こる瞬間を待って
いた。迫りくるタイムリミット。もつれ合う人々、見知らぬ者同士がすれ違う
その一瞬、運命のドミノが次々と倒れてゆく!抱腹絶倒、スピード感溢れる
パニックコメディの大傑作。
※「BOOK」データベースより
恩田陸は本当に色んなタイプの話を書くなぁ、と感心する。ミステリーやホラーっぽいもの、SFっぽいものはこれまで読んだことがあったけれど、コメディは今回初めて読みました。
最初、数ページに渡って登場人物紹介がある小説なんて、海外ミステリー以外であまりお目にかかったことがないなー、と思いつつ読み進め、なるほど、これは人物紹介がないと、人物を頭に入れるまではキツイかもね、と納得。27人と1匹の登場人物とは!ちなみに私はこの1匹が一番好きかも。実はもう少し変わった生き物を期待していたので、案外普通(?)だったのが少し残念なような気も... 何しろ昨今、トンデモないペットが巷に溢れてるものだから。
そんなことはともかく。
一気に読める、疾走感たっぷりのエンターテイメント小説である。27人と1匹のなんの関わりもない人々が、それぞれのドラマを抱えつつ、たまたま集まったメガステーション東京駅。まるで数珠つなぎ、いや玉突き衝突的、あるいは雪崩式に事件は人々を巻き込み、または自ら巻き込まれ、迷走し、タイトルどおり、ドミノ崩しのごとく前へ前へ押し出され、一気にラストに傾れ込む。
読んでいて、私の頭には大好きだった映画「
スナッチ」がまず浮かんだ。(大好きだったんだけど、随分前に見たっきりなので、詳しい内容は忘れてしまったなぁ...)それ以外にも、なんだかもの凄く既視感を覚えるのだけれど、それが何だったのか思いだせない。海外の映画では割とよくあるタイプの設定のような気はする。
とにかく、この小説は実に映像向けだな、と思ったのだ。もしかするとその逆で、映像として思い浮かべたものを小説化したのでは、と思うくらいだ。
大抵の小説の醍醐味は、登場人物の心情とかが描かれていて、複数の主役がいたとしても、ある程度、登場人物に感情移入しながら、物語の中で起こる出来事を体験するように読み進めるものだけれど、「ドミノ」の場合、読者はあくまでも傍観者となる。勝手に動き回る登場人物を遠目に眺めている気分で読み進む感じは、映画を観賞する感覚にとても近い。見事に文章で映像を見せてくれる作品だ。
そしてさらに、文章だからこその可笑しさも、そこここに散りばめられていて楽しい。
例えば、一億円の契約書を命がけ(?)で東京駅まで運んできた義人の一節、
ようやくよろよろと立ち上がり、自分が雨合羽の中にカバンを抱えていることに
気付くと、やっと自分の使命を思いだした。
メロスは激怒した。
なぜか『走れメロス』の一文が脳裏にひらめき、彼は息も絶えだえで、会社目指
して走り出した。
いきなり飛び込んでくる、このあまりにも有名な「メロスは激怒した」の一文が妙にツボにハマって電車の中で噴き出しかけた。
それにしても、これだけの登場人物すべての個性を描き分け、混乱させずに読ませるのは凄い技だと思う。しかも、皆それぞれに魅力的でもある。
個人的には、ダリオと、浅田佳代子のくだりが気に入っている。ズラを片手に東京駅を走り抜ける佳代子の姿は、かなりいい感じに想像できて笑ってしまった。これで、本人は自分のことを真面目なお堅い人間だと思っているのだから可笑しい。その後の爆弾の運命についても気にはなるけれど、個人的には、佳代子のその後も実に興味深いなと思うのである。
楽しく、爽快な物を読みたい方にお勧めです。
ドミノ
恩田 陸
★★★★☆
文庫:383ページ
角川書店 (2004/01)
¥580
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