先日、すごく久しぶりに京都へ行きました。
写真は
建仁寺の○△□乃庭(まるさんかくしかくのにわ)。禅宗の四大思想、地水火風を、地(□)、水(○)、火(△)で象徴したもの、だとか。
風はどこにいったんだ?と思ったのは私だけ?
名前はともかく、お庭自体は小ぢんまりとした中庭風で、とっても素敵でした。
それもそのはず、なんでもこの庭、国宝なんだそうです。
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さて今日の本は、百田尚樹の「海賊とよばれた男」です。
内容紹介
敗戦の夏、異端の石油会社「国岡商店」を率いる国岡鐵造は、なにもかも失い、残ったのは借金のみ。そのうえ石油会社大手から排斥され売る油もない。しかし国岡商店は社員ひとりたりとも馘首せず、旧海軍の残油集めなどで糊口をしのぎながら、たくましく再生していく。20世紀の産業を興し、人を狂わせ、戦争の火種となった巨大エネルギー・石油。その石油を武器に変えて世界と闘った男とはいったい何者か―実在の人物をモデルにした本格歴史経済小説。
出光興産の創業者、
出光佐三を
モデルに描いた伝記的歴史小説。
経済・経営学なんかに詳しい人には
きっと良く知られた人物なのだろうけど、
恥ずかしながら私は
この本が出版されるまで、
日章丸事件も、出光佐三のことも
全く知らりませんでした。
単に私が無知なだけかもだけれど、
こんな凄い人物が
歴史の教科書にも載っていなければ、
小説やテレビ・映画などのメディアにも、
これまでそれほど大きく
取り上げられてこなかったのが
不思議で仕方ない。
馘首なし、タイムカードなし、
定年なしという「人間尊重」の
信念を貫き、国際石油メジャー
からの圧力にも屈することなく、
日本人経営の「民族会社」である
出光興産(小説内では「国岡商店」)
を国内第2位のシェアを誇る
大企業にまで叩き上げた一人の男。
そして、彼を支える
かつての日本人が美徳とした
「勇気」「誇り」「闘志」「義」の
心を持った男たちが成し遂げた
まるで奇跡のような功績の数々。
現代の私達が忘れかけている
日本人の心を再認識させてくれる、
史実を基に描かれているけれど、
冒険小説、あるいは英雄譚に
より近い、痛快な一冊。
出光佐三の生きた時代の
歴史的背景や社会情勢、
特に石油を巡る国際情勢などは
小難しいのではないか、と
百田作品とはいえ、多少身構えつつ
手にしたのだけれど、
そんなものは全くの杞憂で終わった。
例えば昭和史や国際情勢、
政治経済などの知識が
ほとんどない人でも、十分楽しんで
読める小説ではないかと思う。
上下巻合わせても、
たったの800ページ足らずの分量で、
激動の時代を生きた人物の
波乱万丈な人生を
コンパクトでいて過不足なく、
さらに「面白く」描き切れているのは
さすがいま最も売れている作家の技。
正直にいえば、個人的には
こういった類の小説は
もう少し小難しいもの、というのか、
エンタメ色を抑えた、
ドキュメンタリー的な作風の方が
好みなので、若干、脚色というか
美化し過ぎではないかと
少し残念に思える部分があるのは事実。
また、読み易さが仇となって、
ここまでの功績を残した人物の
伝記的小説としては
重厚感が足りないというのか、
読み応え、という面では
多少物足りなさを感じたのも事実。
でもこれはあくまでも
個人的な好みの問題でしょう。
きっとこの作品は、
これからの時代を支えていく
若い世代にこそ
読んでもらいたいという
願いを込めて書かれたものだろうから
このくらい読み易い方が
理にかなった作品なのではないかと思う。
そのうちこれも映画化されそうな
気がするけれど、この本、
というか、出光佐三の生涯を
いっそ大河ドラマで一年かけて
じっくりやればいいんじゃないか、
そんな気がした。
それにしても私自身も含め、
日本の現状をあの世から
出光佐三さんが見ているなら、
さぞかし嘆かわしく思っているだろうな
と、本の内容は痛快ながら、
読後にはなんだか皮肉なものを
感じずにはいられなかった。
海賊とよばれた男
百田 尚樹
★★★★★
海賊とよばれた男 上
単行本:386ページ
講談社 (2012/7/12)
¥1,680
海賊とよばれた男 下
単行本:370ページ
講談社 (2012/7/12)
¥1,680
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