洗顔は石鹸タイプが好きです。泡だてるとこからスタートするのがいい。なんか洗ってるよ~、っていう気になる。もこもこと泡だっていく感覚も好き。いつもはDHCを愛用しているけど、なんか
これが気になったので買ってみた。私はどうもこの「無添加」という言葉に弱い。「赤ちゃんにも安心」なんて書かれると、もぉイチコロです(笑)。
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さて、今日の本は以前から読みたかった柴崎友香の「寝ても覚めても」です。ようやく読めた~。そして期待を裏切らない本でした。
内容紹介
人は、人のどこに恋をするんだろう?消えた恋人・麦を忘れられない朝子。ある日、麦に顔がそっくりな人が現れて、彼女は恋に落ちるが…朝子22歳から31歳までの“10年の恋”を描く各紙誌絶賛の話題作。
※「BOOK」データベースより
柴崎友香の作品は、一人称で書かれているのに主人公の内面的な考察がとても少ない。通常の一人称の作品の場合は、読者が主人公自身になったような感覚で小説を読み進めることになるのだけれど、彼女の小説では少し異なる。感情移入が出来ない、というのではない。感情移入している感覚が、映画など映像作品を観ている感覚にとても近い、といつも思うのだ。
本作品は、10年間に渡る恋の話だ。若い時に宙ぶらりんのまま終結しなかった恋愛は、引きずる。それでも次に別の恋をすれば、普通は多少美化したり若干の後悔(あるいは未練)が残りつつも、過去になる。けれど、朝子の場合、「次の恋」の相手が元彼に「瓜二つ」であったことが事をややこしくする。
10年という長い年月を描いているけれど、あまりそういう風には感じない。途中、数か月、時には数年を一挙にリープしてしまい、その間のことは描かれない。例えば、二人が付き合うことになる過程や、麦が消えた後のことなど、普通の恋愛小説なら、多分重点的に描かれるだろうディテールがすっぱりと抜け落ちている。
それまで普通に会話していた麦と朝子だけれど、次の一行でいきなり、
二〇〇二年になった。
麦が帰ってこなくて二年九か月が経った。十月になった。
となり、麦が消えてしまうことをすでに知っているはずの読者でさえ、ええ、もう!いきなりそこですか?!という気分にさせられる。こんなことが数回起こると、次にいったいどういうことが起こっても不思議じゃない気がするので、時にどきどき、時にひやひやしながら続きを読み進むことになってしまう。だって、例えば、現在の恋人の亮平とうまくいっているその次の瞬間、今度は逆に、「五月になった。麦と暮らすようになって3か月が経った。」とか言い出してもおかしくない、とか思ってしまうじゃないか(これは全くの私の創作で、こんな文章は存在しないのであしからず)。
こんな風に断片的に「今現在」のことを描きつつ、進んでいく。こういった手法が、映像的だな、と思う。起こったこと、目に入ったものを描写し、その瞬間、朝子が感じたことを切り取って集めたフィルムのような感じ。映像どころか、時に写真のような印象さえ受ける。それでいて、彼女の心の揺れは、不思議なくらい手に取るように分かるのだから、凄い。
興味深いのは、朝子が双子のように「瓜二つ」だと思う麦と亮平について、人によって「そっくり」あるいは「全然違う」と意見が分かれること。顔立ちは確かに似ているのだろうと想像するけれど、読んでいて人柄は随分異なるように思える。似ている、というのは何を指して似ているというのか(顔立ち、雰囲気、喋り方、立ち振舞い etc.)、それも個人差があるだろうし、同じ人物を見ていても、実は皆が同じ「もの」を見てはいないのだろうな、と思う。
最後の方に、死んだペットのクローンを作るという事業について触れている。死んだ犬のクローンの犬を抱いた人をテレビで見た朝子は思う。
死んだ犬が生き返ったら、この人の方が死んだことになるんじゃないかと思った。だからわたしは、大阪に行く。
麦の亡霊に取りつかれた彼女だけれど、本当のことにとっくに気づいていたのではないかと思う。けれど、頭で理解していても感情がついていかない、ということもまた理解できる。死んだ犬に会えるなら、死んでもいい、と考える人もいるだろうから。
最後の最後に朝子が気づく過去と現在。それを知らせたくれたものまた一枚の写真。
確かに恋愛小説なのだけれど、まるで時間旅行をしているような、ロードムービーを思わせる、そんな作品でした。
高品質なアートムービーのような、何度読んでも楽しめそうな作品です。
寝ても覚めても
柴崎 友香
★★★★★
単行本:269 ページ
河出書房新社 (2010/9/17)
¥1,575
関連サイト
柴崎友香 公式サイト
http://shiba-to.com/
作家の読書道:第91回 柴崎友香さん
http://www.webdoku.jp/rensai/sakka/michi091_shibasaki/
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